【KIRK】中型ボール雲台 BH-3N
KIRK Enterprise Solutions(KES)の中型ボール雲台BH-3Nです。創業者であるマイケル・カーク氏によりプロカメラマンとして自身が使うために設計されたボール雲台で、KIRK製品の歴史はここから始まりました。コンパクトでも決してBH-1の廉価版ではありません。サイズダウンしたとはいえボール直径42㎜、耐荷重6.75kgというスペックは中~重量級のシステムでも充分な余裕があり、少しでも装備を軽くしたい旅行や登山、フィールド用としても最適な雲台です。
自由雲台と呼ばれることの多いこのスタイルですが、自由に動くだけの雲台では使い物になりません。撮影者の意志のままにテンションを掛け、限りなくなめらかにコントロールしながらフレーミングができること。そして決まったところでピタッと確実な静止が誰にでも簡単にできてこそ本物です。このBH-3は動体から風景・静物までどんな撮影にも「使える」雲台といえます。
<雲台部>
基本操作は直径約30mmの大きなロックノブ1つで行えますので、素早いフレームチェンジにも瞬時に反応。非常にシンプルな操作性で、手袋をしていても操作しやすいように各ノブはBH-1と同じものを採用しています。配置もわかりやすいので、被写体から目を離さずに手探りで操作をしても迷うことはないでしょう。
特徴的なのはその手応えで、「締めた」「緩めた」という感覚を指先から直接感じ取れることには非常に大きな意味があります。よく比較されるアルカスイスZ-1はロックノブの抵抗が少なく、軽い力でノブを回転させるといつの間にかロックされているような感覚ですが、BH-1は水道の蛇口をひねるようにロック/アンロックがはっきりとわかります。あえてメインロックノブにはON/OFFの役割のみを与えていることもやはり目視しながらの操作を前提としない設計です。
小さな2つのノブは、独立して水平方向に回転できるパンロックと、急激なボールの動きを抑えて適度な抵抗をつけるテンションコントロールです。メインロックノブを緩めた途端にガクッと動いてしまう自由雲台はフレーミングしにくいだけでなく、機材の破損につながったり、指を挟んで負傷したりという危険があります。テンションコントロールノブが独立しているためメインロックノブの動きに関わらずボールには常に一定のテンションを掛けておくことが可能です。
主要な部品は非常に軽量で強度はジュラルミンに匹敵し耐食性の高い航空機用6061-T6アルミ合金から削り出しで製造されています。この金属製のボールを動作させる部分には注油の必要がなく自己潤滑性が高いデルリン材を使用することで、ボール表面にはグリースなどの油を必要とせず乾いた状態のまま限りなくスムーズな動きと確実なロックを実現しています。内部機構もステンレスと真鍮が適材適所に使われており、これらが高いレベルでバランスされ、また全て結露が生じても錆が発生しにくい材質ですので耐久性もワンランク上です。撮影現場でのトラブルを未然に防ぐためのきめ細やかなデザインがされていることも大きなアドバンテージとなります。
<クランプ部>
クイックリリースクランプはもちろん、KIRKこだわりのノブ式を装備。品番末尾にNのついたモデルは新型QTTノブ仕様となり、カメラマウントやレンズマウントの着脱に使用する六角レンチを収納できるようモデルチェンジされました。
アルミ合金の塊から削り出されたクランプはノブを締め込むことにより万力のようにがっちりとプレートを挟み込み、ズレやガタとは無縁です。開閉ノブをわずかに緩めるだけでプレートのスライドが可能となるのはアルカスタイル共通の特徴ですが、KIRKが特許を取得した特殊なネジでノブを駆動することにより、上からクランプの上に機材を乗せて180°回転させるだけで固定完了です。そこから逆方向に180°回せばクランプが充分に開き、また上から機材を取り外すことが可能です。QTTノブは握り直す必要すらなく、まさにワンアクションで機材交換や縦構図への変更が可能なクランプです。
高精度で加工された金属同士の組み合わせであれば、コルクやゴムを挟み込む必要はありません。わずかでも弾力のある材質のたわみが微細なブレとなって撮影結果に影響することを避けるための設計です。ノブ式はロック/アンロックの手ごたえが感覚的にわかりやすく、スライド時にはプレートのセーフティスクリューが機能しますので、不注意による脱落事故の確率も低くなります。 KIRKはしっかりとネジで締め込んで固定するノブ式に絶対の自信を持っており、バネで押さえるだけという構造(当然機材の固定に弾力のある素材が介在することとなります)のレバー式クランプは一切製造していません。
このクイックリリースクランプは基本的にすべてのアルカスタイル・プレートをホールドすることができるよう設計されていますが、製造誤差の大きなメーカーが存在することも事実です。品質が確認できる範囲ではKIRKの他にWimberley(ウインバリー)・Really Right Stuff(リアリーライトスタッフ)製プレートは確実に固定できることを確認しております。水平確認を一目でチェックできる水準器も内蔵され、使い込むほどに手放せない相棒となるでしょう。
※パン部分の動作は適度な重さとなるようメーカー出荷時に調整されていますが、この重さは後から調整ができず、またどうしても多少の個体差があります。入荷してきた雲台をすべてチェックして「重め」「軽め」と表示して販売することや、そのために回転トルクを数値化することも一販売店としてはできませんので保証対象外とさせていただきます。もちろん全く動かない、明らかな引っかかりがあるなどの場合は保証の範囲内です。
※雲台を固定するネジ規格がUNC 3/8-16のいわゆる「太ネジ」仕様の脚部にはそのまま装着ができます。
UNC 1/4-20の「細ネジ」仕様の脚部にセットする場合は別売のネジ変換アダプターQRB-8SJが必要です。
※三脚側の固定ネジの長さが8mm以上ある場合は、別売の雲台スペーサー等が必要です。
※カメラボディをこの雲台にセットするためには、
・カメラボディにKIRK製L-ブラケットを装着
・カメラボディにKIRK製カメラプレートを装着
のいずれかが必要となります。
また純正三脚座が装着されている、またはオプション装着可能なレンズをこの雲台にセットするためには、
・純正レンズフット部分をKIRK製レンズフットと交換
・純正三脚座をまるごとKIRK製リング式三脚座と交換
・純正三脚座の底面にKIRK製レンズプレートを装着
のいずれかによりレンズ三脚座がアルカスタイル化されていることが必要です。
KIRK製プレート類はほとんどが各機種専用設計となっています。ご使用の機材に合わせてお選びください。
※クランプの爪幅よりも小さなプレートをホールドする場合は、必ずクランプの中央で挟んでください。
クランプの端でプレートを挟むと開閉部分が斜めになり、プレートと面接触しませんので脱落の可能性が非常に高くなります。
※以前に製造されたモデルにおいて、クランプ開閉にテンションを与えるスプリングの一部に不良品が混入していることがわかりました(当然現在は対策済み)。スプリングが内部で曲がってしまい並行に開閉しなかったり、完全に閉まらないといった個体をがまれに存在することを確認しております。スプリングは外製ですのでKIRKのミスというよりも部材メーカー側の製造ミスなのですが、もちろんお買い上げから1年以内の商品であれば当店にて無償修理をいたしますのでご連絡ください。
スプリングは左右2本使用されておりますが、2本とも日本製のステンレススプリングに交換いたします。お買い上げから1年以上経過されている場合は工賃と部品合わせて1,200円(税別)にて承ります。純正スプリングとは異なるものをあえて使用しますので、開閉の感覚や手で押し戻したときの固さはほんの少し異なります。比較してみて初めて気づくほどの若干の差ですが、信頼性を優先した結果の判断ですのでご了承ください。
材 質 | 航空機用6061-T6アルミ合金より削り出し 内部メカニズムはステンレス・真鍮・デルリン製 スナップリングのみバネ鋼製 |
重 量 | 約558g |
外形寸法 | 高さ:約105mm(プレート取り付け面までの高さ:約101mm) ベース部直径:約61mm |
雲台部 | ボール直径:約42mm ボールティルト:45°/90°テンションコントロール パン:360°独立ロック・アンロック |
クランプ部 | 水準器内蔵 クランプ幅:1.8インチ/爪幅約46mm |
耐加重 | 6.8kg(メーカー発表値) 実用動荷重5kg程度まで |
固定方法 | UNC 3/8-16inネジ(太ネジ)で三脚に固定 別売の変換アダプターQRB-8SJ使用でUNC 1/4-20inネジ(細ネジ)でも固定可能 |
適合 | 全てのKIRKカメラプレート/KIRK L-ブラケット/KIRKレンズプレート/KIRKレンズフット/KIRKリング式三脚座/他社アルカスタイルプレートでカメラまたはレンズ三脚座を固定 カメラ:一眼レフ+望遠レンズ等 脚部:Gitzo 2型クラス等 |
付属品 | ・ユニバーサル カメラ/レンズプレート UP-2 ・5/32in六角レンチ×1 (クランプ部に収納) |
生産国 | アメリカ合衆国 |