スタジオJinのオリジナル企画品。KIRK製のグリップやフラッシュブラケットに装着されているスポンジグリップと交換できる木製グリップです。

近年様々な新素材が開発されてはいますが、やはり直接手に触れる部分では天然木の肌触りに勝るものはありません。しっかりした握り心地と同時に、柔らかさや暖かみを感じさせてくれる素材です。ハンドガンやライフルをはじめ、本当に重要な握り部分は木製のものが多いですね。

せっかく製作するなら最高のものを作ろうと、材質はもちろん、形状にも仕上げにも徹底的にこだわりました。 スタジオJinから国内の挽物(ひきもの)専門木工所に直接オーダーし、熟練の職人が一つひとつ丁寧に手仕上げで製作した逸品です。卓越した日本の伝統工芸技術を最新のデジタル撮影機器で生かすという、新しい発想の製品となりました。

<材質>

ローズウッドと呼ばれる木材は何種類かあり、超高級ギター材として有名なハカランダと呼ばれるブラジリアンローズウッドは絶滅危惧種としてワシントン条約に指定され、現在は材料として入手することは非常に難しくなっています。そのハラカンダに次ぐ材料としてニュー・ハカランダと呼ばれ、やはり楽器や高級家具用途として珍重されるホンジュラス産ローズウッドを使用しました。堅く耐久性があり、赤みのある木目が美しい材です。

木琴やマリンバの音板としても最高級品だそうで高価な材料なのですが、その木琴の音板用として切り出されたものを2枚貼り合わせてから切削することで比較的リーズナブルに仕上げることが出来ました。もちろん特殊な接着剤を使用し十分な圧力を掛けて接着してありますので、割れや剥がれ等の心配はありません。

<成型>

すべて長年の経験を持った挽物師さんの手作業で製作されます。角棒を木工旋盤で回転させながらよく切れるノミの刃を当て、1本1本を無垢材から削り出します。厳密に言えば全く同じ形のものはなく一つひとつが微妙に違うのですが、そこは職人さんの技術と経験によりほぼ同じ形で製品化することができました。また10年以上の時間を掛けて完全に乾燥させた木材を使用していますので0.1mm単位の精度で加工ができ、その後狂いもほとんど出ません。

試作を重ねて完成した木製ならではというフォルムは、握りやすいうえに指掛かりがいいので操作性と安定性を向上します。また重量のある機材を装着した長時間の撮影でも疲れにくいデザインです。

<仕上げ>

削り出された木材を回転させながらその摩擦熱で蜜蝋を溶かしながら十分に染み込ませ、深い艶と光沢を出します。屋外で使用することも多いカメラグリップですので、その後ウレタン成分が少量配合されたオイルを3度掛けして浸透させ、水分や汚れにも強くなっています。

もちろんニスやラッカーなどの表面処理はせず、木材表面に塗膜はありませんのでリアルウッドそのままの手触りです。また着色もしていませんので使用するにつれて独特の風合いが出てきます。