MAGPUL社のQD(Quick Disconnect)システムに対応する、同社製のQDスリングです。このQDシステムは兵士が自動小銃などを肩から吊り下げて移動し、同時に保持しながら射撃するための本物のスリングシステムで、ワンタッチで着脱が可能なうえに信頼性が非常に高いのが特徴です。実際の戦場に出かけることはなくても、プロのフォトグラファーにとっては全ての現場がカメラマンとしての生き残りが賭かった戦場であり、そこでなによりも優先されるべきものは信頼性だと考えます。QDシステムについて詳しくはこちらをご覧ください。

マグプル社はアメリカ海兵隊武装偵察部隊(フォース・リーコン)の軍曹だったリチャード・M・フィッツパトリック氏により1999年に設立されます。同社が最初に製造した、ライフルに銃弾を装填する弾倉(Magazine)を素早く引き抜く(Pull)ためのゴム製部品マグプル(MAGPUL)がそのまま社名となっています。
つい｢それだけの部品？｣と思ってしまいますが、戦場の極限のストレス下で素早く確実に作業ができることは命に直結するものです。近年は銃器そのものの設計も行う本物の銃器メーカーですが、軍人である彼が自分が使うための道具として銃器のアクセサリーを開発してきた姿は、やはりプロカメラマンとして自分が使いやすい撮影機材の開発を行ってきたKIRKの創業者マイケル・カーク氏の姿と重なります。

QDシステムの着脱は、ソケットと呼ばれる溝加工がされた丸い穴に、スイベル(ベルトホールのついた回転する金具)中央の着脱ボタンを押しながら挿入するだけというシンプルさです。取り外す際にもボタンを押しながら抜く必要がありますので不用意に外れてしまう心配はありません。ベルト部分の長さ調整もスムーズで耐摩耗性も非常に高い素材が使用されています。キチンと規格通りに作られたQDソケットさえあればワンタッチで確実にスリングの着脱ができるのは非常に便利です。

実銃用に製造されたスリングはナイロンベルトにも厚みがあり、馴染むまでは少し硬く感じるかもしれません。また両端に確実に縫い付けられたスイベルもメロナイト加工のスチール製ですのでカメラストラップとしては重量感もあります。いずれもカメラマンにとっての武器である機材を確実に吊り下げて運ぶという信頼性と耐久性を最大限に優先させた仕様です。

以前から銃器用・エアガン用のスリングとしてポピュラーなものですのでサバイバルゲームなどを楽しまれている方はご存じかもしれません。ただ実戦を想定してキチンと作られたMUGPUL純正品はやはり少し高価なため、レプリカやコピー品、悪質な偽物も非常に多く出回っていますので注意が必要です。もちろん“本物”が品質に最も優れていることは言うまでもなく、当然のことながら当店では本物しか取り扱いません。ちなみに銃器で使われる｢スリング｣とは｢吊る｣という意味で、カメラ業界で習慣的に使われている｢ストラップ｣(広い意味で紐の意)の中でもショルダーストラップとほぼ重複します。

また新たにQRC-1の中央にQDソケットを設け、MAGPULスリングにセットするとクランプ付きのアルカスタイルストラップとして使用できる製品QRC-1QDも発売されました。これでQDソケットが装備されていないレンズマウントやカメラマウントにも使用することが可能となり、さらに利便性は広がります。